回想法について紹介

回想法という用語は、1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏が提唱した心理療法のことを称します。高齢者におけるうつ病の治療としても当時から使用されていて、認知機能の改善にも効果があると証明されています。そのため、認知症患者のリハビリの一環としても介護施設などでとり入れられています。
認知症発症患者の特徴でもある、記憶について注目したのがこの回想法です。高齢者は、直近の曖昧な記憶よりも、遠い過去の記憶のほうが鮮明なため、このような回想法を高齢者のリハビリテーションに上手くとり入れている施設もあります。

回想法の効果と方法

認知機能が低下している高齢者に回想法を実施すると、さまざまな効果を期待することができます。回想法をおこなうと、記憶をたぐり寄せ他者とコミュニケーションをとることになります。すると、自然と脳が活性化されます。脳が活性化されることで認知症の進行をおくらせ、自らの過去を振り返ることで失っていた自信をとり戻すきっかけにもなります。
回想法の有効性についてはヨーロッパなど世界中からさまざまな検証の報告がなされていますが、報告のひとつに、ヨーロッパの研究者のものがあります。これによると、認知機能の低下している高齢者41人を対象に回想法を実施したところ、対象者の行動や精神状態が改善したそうです。また、日本でも国立長寿医療研究センターの遠藤英俊医師が、65歳から86歳の高齢者を対象に2年間回想法を実施するという検証をおこないました。すると対象者の認知機能が改善し、回想法をおこなった効果が2年間持続することがわかりました。
回想法の方法として、家庭でもできる個人回想法と、複数人でおこなうグループ回想法があります。個人回想法は、特別な知識がなくても家庭で気軽に実施できるという利点があります。また、グループ回想法は、グループ数人でおこなうことでコミュニケーションが活発になるという利点がありますが、どちらも大切なのは記憶をひきだすきっかけを用意しておくことです。きっかけには子ども時代や結婚、出産などライフステージを示すキーワードがおすすめです。

回想法の注意点

比較的、誰にでもおこないやすい回想法ですが実施するときに知っておくとより効果的におこなえる方法があります。それは、答えやすいような具体的な質問を準備することです。幅広い回答がかえってきそうな質問をすることは、逆にマイナス効果です。具体的な質問を心がけるとより効果的です。たとえば、子どものころのことについて聞くのであれば、子ども時代ついて教えて、と質問するのではなく、小学校で好きだった授業は?とより具体的な質問にすると答えやすくなります。
過去の記憶は無理に聞きだそうとしないことも大切です。当事者が語ることを拒んだ時点で、質問の内容を変えて実施しましょう。また、当事者が語る内容の間違いを訂正しないことも重要です。最後までしっかりと当事者の語る内容に耳を傾けることが大切です。

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